痛みを分けると大きく3つに分けられます。 痛みの種類 ①侵害受容性の痛み…炎症や外傷などの刺激により起こる痛み ②神経障害性の痛み…神経が傷つくことにより起こる痛み ③心因性の痛み…心理的な要因で起こる痛み 痛みのメカニズム 人の体には、痛みを感じるセンサー(受容体+受容器)と、その刺激を伝える電線(神経線維)が全身の各所に備わっています。 センサーが感じた刺激を脊髄や脳に伝える電線(神経線維)には2種類あり、ぶつけたり画鋲を踏んだりした際にズキッと鋭い痛みを伝える 神経Aと、骨膜や筋肉・筋膜、関節内の内側や靭帯などに多く存在し、炎症などで発生する体内化学物質や壊れた組織から分泌される物質などに反応し、 鈍く曖昧な痛みを伝えるC線維があります。 A線維は情報伝達速度が速いので、痛み情報を即中枢へ伝えますが、C線維は情報伝達速度が遅く、途中であちこち寄り道をします。 痛みを起こす悪者たち(体内の化学物質) 怪我をして組織が壊れると、損傷部分の細胞からはカリウムイオン・水素イオン・ATPなどが流出しセンサーによって痛みとして感じられます。 また、怪我をしたことによって血中からブラジキニンやセロトニン・ヒスタミンなどが放出され痛みを引き起こします。 これらは全て発痛物質と呼ばれます。 その他にも、プロスタグランジン・サイトカイン・サブスタンPなど単独では痛みを起こさなくても、発痛物質の痛みを強く感じさせる物質もあります。 痛みの原因 C線維はあちこちに寄り道をするのですが、その寄り道によって感情と痛みがセットになってしまうことがあります。 イライラしたり落ち込んだりといった感情に関わる脳の部分に、C線維の痛み信号が寄り道を繰り返しているうちに、痛みと情動がシンクロして、 脳は痛みと情動が関係していると記憶してしまうことがあります。落ち込むと腰が痛む。腰が痛むと落ち込む。 多くの腰痛が心因性に因るものと言われているのは、このような原因が考えられます。 また、脳には様々な所から情報が集まり、C線維の痛み刺激も寄り道をしたりして、脳に情報が伝わる際に情報が混乱して間違えることがあります。 すると、痛みの原因が他にあるにも関わらず、腰や肩、首などに痛みが出ることがあります。 引金を引いて、遠くに痛みを引き起こすこの原因となっている場所をトリガーポイントと呼んだりします。 筋肉が固くなると痛くなる? 多くの肩こり・腰痛の原因が、筋硬直という状態が長く続くことで引き起こされています。筋肉は伸びたり縮んだりする際にATPやカルシウムイオン というエネルギーを使います。長く同じ姿勢で仕事したり、ストレスが続くと、筋肉に縮むための命令が出続けるため、ATPやカルシウムイオンが不足し 筋肉が縮んだまま戻らなくなってしまいます。この状態を筋硬直と言います。 筋硬直が起こると、筋肉内の血液の循環が悪くなり、本来は血流によって排出される発痛物質が溜まり痛みを引き起こします。 これがまた、C線維によって脳に伝達される際に寄り道して・・・を繰り返し痛みの悪循環となります。 また、この筋硬直がトリガーポイントを作る原因にもなっています。